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携帯電話

昼間にぼんやりTVを見てると、NHKの1982年の「you」って番組で、まだ若い糸井重里や坂本龍一が司会のトーク番組の再放送があっていた。
「システムエンジニア」の若い男の子が、
「今は各家で扱ってるコンピューターが、誰かのコンピューターと繋がって手紙や電話みたいに交信が出来る時代が直に来ます」と言い、会場の若い子達は?って感じだった。
40年前は想像もつかなかったけど、本当にそんな時が来ましたね!(◎_◎;)

私は、37才だった。
博多に出て有線放送でバイトしてた時の同僚だった女の子が新しい物好きで、携帯電話を持ち使ってたのね。
寸胴でアンテナが付いてた。笑
彼女が新しい携帯に変えて、古いのがまだ使えるから「持ってたら」って貸してくれた。
「電話もだけどメールとか便利だから」と言うけど、まだ殆どの人が携帯なんて持っていなくてメールが出来るのはその彼女とだったし、携帯で電話をかけるって事もなかった。

その頃とてもショックな事があり、何もかも嫌になって家を飛び出した。
行く宛もなく電車に乗って小倉駅に着いた。
このまま関門海峡を渡って北へ行こうとした時、「クジラに逢える町、大方町」と言う大きなポスターが目に止まる。
小さい頃、いつかこの目でクジラを見るのが夢だった事を思い出し、同時にそれはアラスカみたいな遠いトコまで行かなきゃ無理な事だと思っていた。
ポスターの指示通りに小倉駅から港に向かい松山行きの船に乗り込む。
松山から大方町を目指して電車を乗り継ぎして、それはかなり長い道のりだった。

漁師船で、船の横にピッタリくっついてゆったりと泳ぐクジラと時間を過ごして私はとても気持ちが楽になった。
いろんな煩しさが小さな事に思えて、もうこれ以上遠くに行かなくていいよ、って思えた。

中村と言う町の安い宿に泊まり、近くに四万十川が流れていて、私は翌朝貸し自転車で川のほとりを散策した。
沈下橋のたもとに自転車を止めて橋の中央まで歩いた。
橋に腰掛けて足を投げ出して、何時間も座り込む。
「なんて静かな時間」
日が暮れて、初めて私は携帯電話で彼女に電話をした。
「どうしたん?」ってビックリした声。笑
「今、四万十におるんよ。川が凄く綺麗」って言う私に、何も聞かずに「そう、良かったやん。ゆっくりして帰りね」と彼女が言った。

私には全く必要はない、と感じていた携帯電話だったのに、戻って彼女の携帯を引き続き契約して使わせてもらう事にした。
それが私の携帯電話デビューだった。

昨年からライブもなく自粛の日々、
誰かと繋がっているのは、ただただこのスマホなんだから^ ^
人生っておもしろい。